『Joel on Software』読了
2007/04/12
『ハッカーと画家』に続いて『Joel on Software』を読了しました。『ハッカーと画家』と併せて読むとバランスが取れて丁度いいなあ。
『ハッカーと画家』は
- ハッカー
- ベンチャー
- Lisp
と、我々を奮い立たせるキーワードが盛り沢山の熱い書籍でした。とても刺激的だったし、読んでるだけでその気になってしまいました。
対して『Joel on Software』は、現実には大手企業の開発部門で働く自分により身近な内容で、足場を固めてくれる。例えば有名なジョエルテスト。
- ソース管理システムを使っているか?
- 1オペレーションでビルドを行えるか?
- 毎日ビルドを行うか?
- 障害票データベースを持っているか?
- 新しいコードを書くまえにバグを修正するか?
- 更新可能なスケジュール表を持っているか?
- 仕様書を持っているか?
- プログラマは静かな労働環境にあるか?
- 買える範囲で一番良い開発ツールを使っているか?
- テスト担当者はいるか?
- プログラマを採用するときにコードを書かせるか?
- 「廊下での使い勝手テスト」を行っているか?
当てはまる項目が10個以下の開発組織は深刻な問題を抱えているというけど、自分の組織は多分半分も当てはまりません。組織全体がこれらを満たしていなくても、自分ひとりで1個ずつ埋めていって、徐々に周りを巻き込んでいくことが重要ですね。
ジョエルテストに関して特に気になったのが「テスト担当者はいるか?」です。テスタを雇わない一番バカな理由は「テスタを雇う余裕がない」で、テスタもいないような会社では、優秀なプログラマは結局辞めてしまうので、プログラマの補充に必要なコストで十分にテスタを採用できるというお話。自分の会社で専任のテスタさんにあったことはないので、多分いないと思うのですが、いかにマズいことなのか認識できました。
ジョエルテスト以外では、基本的にはコードを1から書き直すのはよくない、という話がよかったです。自分の会社でも、よく「これって一から作りなおした方がいいんじゃないの?」なんていう話になったりします。自分でもよく、全部リセットして一からやりなおしたい、と思ってしまいます。開発者って結構みんなそういう傾向があるんじゃないかなあ。
しかし、ポール・グレアム氏もジョエル氏も文章が面白いですね。翻訳されているから、訳者の文章力ももちろんですが、内容がまず面白い。そういえば、『Joel on Software』には「仕様書なんてなかなか読んでもらえないんだから、少しでも面白く書け」というお話もありました。面白い文章を書ける能力って身に着けたいな。
さて、2冊続けて読みましたが、両方ともソフトウェアに係わる人は読む価値のある本ですよ。特に企業でソフトウェア開発に携わっている人にとっては、『Joel on Software』は必読ではないかと思います。是非に。