映画篇
2007/08/14
最近、本の話ばかり続きますが、今日読んだばかりの一冊。『GO』で直木賞を受賞した金城一紀さんの最新作『映画篇』です。帰省の途上で読みました。
金城さんは好きな作家の一人です。多分そういうタイプの人間には見えないと思うのですが、僕は青春小説が割と好きなほうなので、ゾンビーズシリーズや『GO』を読んで以来、金城さんはお気に入りです。
で、『映画篇』。5 本の中編から構成された連作集で、それぞれテーマとなる 5 本の有名映画と同じタイトルが与えられています。残念ながら、僕はあまり映画を見ないので、テーマとなっている映画をほとんど見たことがない。知らなくても全然楽しめたし、面白かったのですが、知っていれば、もっと楽しめると思うのです。
ある中編のキャラが他の話のちょい役で出て来たりと、微妙にうまくリンクさせています。最後の 5 本目の中編では、『ローマの休日』で他の全部の中編を結びつけているようなところがあって、一番好きです。あと、帯に「現実よ、物語の力にひれ伏せ」と書いてあるのですが、最も良くそれを表現している 1 本目も好きです。
友情も、青春も、家族愛も、全部まとめて書いてあります。『GO』やゾンビーズシリーズとは作風の違う作品だし、スカッとしたりもどかしくなったり熱くなったり、そういうのではないけど、読んでいて穏やかな気分になれました。どちらかというと、僕はこういう話のほうが好きです。